産地紹介(北部)

Calatayud / カラタユド

カラタユドは1990年にDOに昇格、アラゴン州でカリニェナに次いで2番目に大きく、品質の高いワインを生み出す産地となりました。以来、協同組合と個人経営ワイナリーとの両方において、よりワインの水準を上げ、完全なものにするために、進歩的な改善に取り組んできました。また新しいテクノロジーや醸造システム、ブドウ畑の研究のために相当な投資が行われました。これらにより今日のカラタユドのワインは、真の可能性を見せ始めています。
多くの新しいワインは、完熟したガルナチャによる可能性を探求しています。カラタユド・スペリオールと呼ばれる若い赤ワインの新しいカテゴリーは、最低でも樹齢が50年で、収量が1ヘクタール当たり3,500㎏以下のガルナチャから作られています。

地理的特徴と気候

DOカラタユドはアラゴン州サラゴサの南西約87㎞に位置し、東はDOカリニェナと、西側はソリア地区と境を接しています。そこにはモンカヨ山脈の麓の複雑な山系システムのエリアがあり、それらはエブロ川、ハロン川、ヒロカ川などを含む、他の小さい川の支流によって形成された複雑な水路システムのネットワークを取囲んでいます。ブドウ畑の斜面はシエラ・デ・ラ・ビルヘンの南側、標高550~880メートルから下っています。ブドウ畑の大半は、石灰岩の割合が多く、透水性の高い健全な土壌となっています。岩が多く、栄養分はあまり含まれていません。
カラタユドの大陸性気候はほかのアラゴン州のほかの栽培地域と同様ですが、いくつかの畑はスペインで最も乾燥しています。 年間5~7か月は雪が降るビルへン山脈の麓のブドウ畑を吹き渡る風の影響で、夏の気温はさほど上がりません。昼夜の温度差は激しく、特にブドウが熟する時期にはそれは決定的な影響を与えています。このことが酸とアルコールの素晴しいバランスを生み出し、アラゴンのワインを他に類を見ないものにしています。
降雨量はブドウ畑の位置によってかなり違いますが、だいたい300mm~550mmです。この地域では珍しくない霜と強風は、年によってはブドウに被害をもたらすものとして知られています。

栽培と醸造

このDOで認可されているブドウ品種はこの20年で相当に広がりました。今では伝統的な品種であるガルナチャ・ティンタ、マスエロ、ビウラそしてガルナチャ・ブランカなどと並んで、輸入された国際品種も栽培されています。植え替えられたテンプラニーリョは今では栽培面積の16%を占めるようになっています。また最も革新的な栽培家たちは、シラーやカベルネ・ソーヴィニョンやメルローを実験的に栽培しています。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Crta. de Valencia, 850300 Calatayud Zaragoza Spain
DO 設立年 1990年
規定の最終更新 2010年
連絡先 電話:+34 976 884 260/e-mail:contacto@docalatayud.com
HP www.docalatayud.comm
ブドウ畑の面積 3,500 ha
ブドウ畑の標高 800 m
土壌 グレーと赤のスレート、石灰岩、粘土、ローム、石膏と小石
主要ブドウ品種 白ブドウ品種:マカベオ、ガルナッチャ・ブランカ、マルバジア、シャルドネ
黒ブドウ品種:ガルナッチャ・ティンタ、テンプラニーリョ、シラー、ボバル、モナストレル
許可品種 白ブドウ品種:ソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、マスカット・オブ・アレキサンドリア
黒ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、マスエロ
オーガニックブドウ栽培面積 10 ha
気候 平均気温:13.5℃
年間平均降雨量: 350 mm
年間平均日照量: 2700時間
最大収穫量 7,000 kg/ha (黒ブドウ)、8,000 kg/ha (白ブドウ)、4,500 kg/ha (樹齢35年以上の古木)
収穫率 70%
生産量 2015年11,367,000 kg
アルコール度数 白min. 10.5%、ロゼmin. 11%、赤min. 12.5%
熟成年数 ・クリアンサ
24か月、うち最低6か月は樽熟成。

・レセルバ
最低36 ヶ月。最低12か月は樽熟成。

・グラン・レセルバ
最低60か月。うち最低18か月は樽熟成。
ワイナリー数 16
輸出量 2014年 45,899.80 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2017年5月現在)の一部を和訳したものです。

Campo de Borja / カンポ・デ・ボルハ

カンポ・デ・ボルハはDOナバーラと接し、魅力的なロゼとガルナチャを中心とした赤ワインの産地です。
この地域がDOとなったのは1980 年。それ以来、徐々に独自のアイデンティティを形成しつつあります。ワインは良く出来ており、フルボディで密度が濃く、はっきりとしたフルーティーなアロマがあります。 ほとんどは赤ワインで、クリアンサとレセルバの数は着実に増加していますが、同時に白ワインも生産されています。今日では赤ワインとロゼワインは専門家たちの賞賛を獲得するようになりました。また、しっかりとしたフルーティーさのある若い赤ワインは、かなりの商業的成功を収めています。
カンポ・デ・ボルハのワイン醸造の豊かな文化遺産は、ガルナチャに依ります。一番高齢な畑は1890 年から続いており、約4,000 ヘクタールのうちの2,000ヘクタールは、樹齢30年から50年です。生産量は多くはありませんが、ワインに複雑な骨格と香りを与えることから、その品種はワイン醸造学的に非常に高く評価されています。

地理的特徴と気候

カンポ・デ・ボルハは、サラゴサの北西に位置しており、DO内の最大の都市ボルハは7,000ヘクタールのブドウ畑に囲まれています。地理的に言えば、この地域はナバーラの延長上にあり、サラゴサに向けて流れているエブロ河の南側に位置します。
ブドウ畑は標高350-750メートルのところに横たわり、西のモンカヨ山の斜面から東の低い丘へと下っています。従来よりカンポ・デ・ボルハは南部の平地のプラセンシア地区と、北部のウエチャ川(エブロ川の支流)流域の2 つのサブゾーンに分かれています。
景観は、エブロ河の渓谷に沿って高原が続いています。土壌は砂質が石灰岩を覆っており、そのため石状で水はけが良くなっています。この標高と土壌が高品質なワインの生産に非常に適しています。
他のアラゴン州のワイン生産地と同様に、カンポ・デ・ボルハは、長く暑い夏と、冷たい冬という極端な大陸性気候です。春の終わりには、霜や雹が多く、またシエルソと呼ばれるこの地方と特有の冷たく乾いた風が吹きます。雨量は多くはありません。

栽培と醸造

伝統的なスペイン固有のブドウ品種の全てがカンポ・デ・ボルハには存在しています。
ガルナチャは赤ワインとロゼワインに、テンプラニーリョは熟成を補完するために、マカベオは白のDOのワインを造るために、モスカテルは甘口ワインのために、それぞれ存在しています。その他の認可品種は、メルロー、カベルネ、シラー、シャルドネなど。植樹密度は1ヘクタールあたり 1,500本から4,000本で、風や過度の熱の被害を受けやすい地区のブドウは低く植えられています。

D.O.情報(ファクトファイル)


原産地呼称委員会所在地 Subida San Andres, 650570 Ainzon Zaragoza Spain
DO 設立年 1978年
規定の最終更新 2010年
連絡先 電話:+34 976 852 122/FAX:+34 976 868 806/e-mail:vinos@docampodeborja.com
HP www.docampodeborja.com
ブドウ畑の面積 6,809.71 ha
ブドウ畑の標高 350~750 m
土壌 茶色い粘土質、石状のテラス、石灰岩と鉄
主要ブドウ品種 白ブドウ品種:マカベオ、モスカテル、シャルドネ、ガルナッチャ・ブランカ、ソーヴィニヨンブラン、ベルデホ
黒ブドウ品種:ガルナッチャ・ティンタ、テンプラニーリョ、シラー、マスエラ、カベルネ、メルロー
オーガニックブドウ栽培面積 60 ha
気候 夏季の最高気温 35 oC
冬季の最低気温 マイナス5 oC
平均降雨量 年間350-430 mm?
平均日照量 年間2,800時間
最大収穫量 7,000 kg/ha(黒ブドウ)、8,000 kg/ha (白ブドウ)
ヘクタール当たりのワイン生産量 49 hl/ha(赤ワイン)、56 hl/ha(白ワイン)
収穫率 70%
生産量 2015年 38,378,000 kg
アルコール度数 白ワイン 平均11% 、ロゼワイン平均11%、赤ワイン平均12%
熟成年数 クリアンサ:最低6か月間と18か月間は瓶熟成または樽熟成

レセルバ:樽熟成最低12か月と、瓶熟成24か月

グラン・レセルバ:樽熟成最低18か月と瓶熟成42か月
ワイナリー数 18
輸出量 2015年80,103.14 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2017年4月現在)の一部を和訳したものです。

Cariñena / カリニェナ

カリニェナはアラゴン州の中では最も古く最も大きいDOで、スペインでも早い時期、1932年に その地区の原産地呼称が認められました。DOの名称は、スペイン北部ではマスエロ、フランスではカリニャンと呼ばれるブドウの品種名に由来しています。
この10年間には、小規模ワイナリーと協同組合との間で急速に開発が進み、ワインは モダンなスタイルに生まれ変わりました。赤ワインは骨太で肉厚なタイプになりましたが、古くから有名なロゼとモスカテルのワインも継続して作られています。

地理的特徴と気候

カリニェナは、アラゴン州中央部、サラゴサ市の南西48 kmに位置しています。ブドウ畑はエブロ河の南側、標高400mの平地、カンポ・デ・カリニェナとして知られている場所にあります。産地の標高はビルゲン山脈と出会う南部では800mまでになり、また西部はDOカラタユドに隣接しています。
カンポ・デ・カリニェナは、南西側がイベリアン山脈に囲まれているため、ミネラル成分が山から平野部に下ってきており、それが土地の個性となっています。
山のふもとの土地は岩状で貧しく、機械も入らないため収量は少なくなっています。 標高が低くなると傾斜は緩やかになり、カリニェナの平野に続きます。土壌は堆積土や堆積物からなる小石状で保水性が高く、これらがブドウ樹の生育に必要な状態を生み出しています。この地域の気候は近年より穏やかになってきており、ブドウ樹の発達において理想的な環境となっています。

一方アレガイレン山と並行に走っている平野部には原産地呼称で認定された土地の80%が集中し、土壌は中新世の粘土質で構成されています。ここでは次の4つの土壌が見られます。

  1. 細かく砕けた茶色い石灰岩土壌。表層は外部からの堆積物で覆われており、ところどころが赤茶色になっている。この土のタイプがカリニェナの原産地呼称エリアでは最も多くみられる。
  2. 主に南部の立派な茶色い土壌が粘板岩を覆っており、そこに石英岩や固結岩屑土などが混じっている。この土のタイプがここでは2番目に多くみられる。
  3. 強粘土質土壌。段々状になった土壌が茶色い石灰岩の表面にあり、その下には石灰質の堆積物がある。
  4. カラール、セロレンシーナ(Calar. Xerorendzina)はローム層の上にあり、砂岩と時に 石膏が混じった茶色い石灰岩で、固結岩屑土も見られる。もうひとつはカリニェナのごく一部の地域にみられる堆積土壌で、ハロン川とウエルバ川の沈殿物から成る。

気温はこの過酷な大陸性気候に相応しく極端で、夏は38度にまでなり、冬は8度にまで下がります。また冬期の「シエルソ」と呼ばれる乾いた北風がよく知られています。 この気候により、ブドウ栽培者たちは、雹や強風、そして激しい夏の暑さとともに作業をすることになります。干ばつも収穫量に影響を与えます。また昼夜の温度差は、ブドウの風味を凝縮させることに役立っています。

栽培と醸造

DOの名前はカリニェナから来ていますが、ここで最も重要な品種はガルナチャで、栽培面積の55%を占めており、赤ワインとロゼワインが造られています。白品種ではビウラで、20%を占めています。
テンプラニーリョ(栽培面積の15%)は熟成の長い赤ワインの増加とともに、増えています。 垣根仕立てでは、畝間は3mが標準となっています。植樹率は1ヘクタール当たり1,500~3,000本。収穫は通常9月に始まります。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Camino de la Platera, 7 50400 Carinena Zaragoza Spain
DO 設立年 1932年
規定の最終更新 2012年
連絡先 電話:+34 976 793 031/FAX:+34 976 621 107/e-mail:secretaria@docarinena.com
HP www.docarinena.com
www.elvinodelaspiedras.es
ブドウ畑の面積 14,459 ha
ブドウ畑の標高 400 ~ 800 m
土壌 赤茶色の石灰岩がその下の、炭化した土や沖積土、粘板岩などの混じった岩状の層を覆っている。
主要ブドウ品種 白ブドウ品種:シャルドネ、ガルナッチャ・ブランカ、マカベオ、マスカット・オブ・アレキサンドリア、パレリャーダ
黒ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニョン、ガルナッチャ・ティンタ、フアン・イバニェス、カリニェナ(マスエロ)、メルロー、モナストレル、シラー、テンプラニーリョ、ビダディーリョ
オーガニックブドウ栽培面積 12 ha
気候 夏季の最高気温 39.9°C
冬季の最低気温 -6.1°C
年間平均降雨量380-450 mm
年間平均日照量2,800時間
最大収穫量 8,500 kg/ha(黒ブドウ)、9,000 kg/ha (白ブドウ)
ヘクタール当たりのワイン生産量 63 hl/ha
生産量 2015年109,014,176 kg
アルコール度数 白min. 9% abv、ロゼmin. 9% abv、赤min. 9% abv
その他
- セミドライ、セミスィート、甘口: 9°
- リキュールワイン: ≥15°かつ ≤22°
- ナチュラル スィートワイン:13°
- セミスパークリングワイン: 7°
- スパークリングワイン:10°
- レイトハーベスト:13°
熟成年数 ・クリアンサ
(赤)最低24か月。うち最低6か月は樽熟成。(樽の容量は最大330ℓ)
(白とロゼ)最低18か月。うち最低6か月は樽熟成。(樽の容量は最大330ℓ)

・レセルバ
(赤)最低36か月。うち最低12か月は樽熟成。そして残りの期間は瓶熟成。(樽の容量は最大330ℓ)
(白とロゼ)最低24か月。うち6か月は樽熟成。 そして残りの期間は瓶熟成。(樽の容量は最大330ℓ)

・グラン・レセルバ
(赤)最低60か月。うち最低18か月は樽熟成。そして残りの期間は瓶熟成。(樽の容量は最大300ℓ)
(白とロゼ)最低48か月。うち6か月は樽熟成。 そして残りの期間は瓶熟成。(樽の容量は最大330ℓ)

・ロブレ
最大600ℓのオーク樽に入れて白は最大45日、赤は最大90日熟成させたもの。

・ノブレ
最大600ℓのオーク樽もしくは瓶で最低18か月熟成させたもの。

・アニェホ
最大600ℓのオーク樽もしくは瓶で24か月熟成させたもの。
ワイナリー数 35
輸出量 2015年 297,567.85 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2017年4月現在)の一部を和訳したものです。

DOナバーラ

ナバーラ自治州は、ピレネー山脈の中心部からさまざまな景観を経てエブロ河渓谷まで広がっています。 北の壮大な山々は、起伏のある緑深い丘陵地帯に変わり、南は乾燥した平野に変わります。 DOナバーラのブドウ畑は、州南部、すなわち州都パンプローナから南の平野に広がっています。 ここはイベリア半島でも特にユニークな場所で、大西洋型、大陸型、地中海型の気候のすべての影響を受ける地点であることが特徴です。 ビスケー湾への近さ、ピレネー山脈の影響、エブロ渓谷の温暖な影響などは、すべて、ナバーラにさまざまな微細気候をもたらす重要な要素です。
DOナバーラは、赤白ワインを生産していたにもかかわらず、1980年代までは特に伝統的なロゼワインの産地として最もよく知られていました。しかしそれ以降、スペインで最も大きな変革を遂げたワイン生産地域の1つとして知られています。 この変革の大部分は、Estaciónde Viticultura y Enologíade Navarra(ナバーラ州立ブドウ栽培・醸造研究所)の活動によるものです。 オリテ近郊にあるこのセンターは、ブドウ栽培とワイン醸造の分野で研究と教育を行っており、それによりこのDOを、スペインでも珍しいほど多様なワインの生産地にすることに貢献しています。 したがって今日ナバーラでは、高品質な赤、ロゼ、白、そしてモスカテルを製造しています。

気候と景観の多様性

この地域の様々な気候的な要素は、ナバーラの景観、斜面や川岸の平野、台地(高知)平野などを特徴づけています。そしてそれらは 10,500ヘクタール以上に及ぶDO(原産地呼称)のエリアで見られるさまざまな生態系と作物の生育条件にも表れています。 DOは、バハ・モンターニャ、バルディサルベ、ティエラ・エステーリャ、リベラ・アルタ、リベラ・バハの5つの異なるワイン生産地(サブゾーン)に分かれています。

ブドウ畑とワイナリーの進化

過去30年間、ナバーラのワイン造りには継続的な進化が見られました。この進化によってワインのスタイルは完全に変わり、一貫して価値のあるものになっています。

まず、80年代に、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニヨン、メルローなどの国際的な品種が導入されました。 これらの品種は、土地固有の品種であるビウラ、テンプラニーリョ、ガルナッチャとともに栽培され始めました(ガルナチャはこの地域で、最も広く栽培され、最も可能性がある品種です)。国際的な品種は地域に良く馴染み、伝統的なブドウ品種の永続的な可能性を無視することなく、新しいワインスタイルの開発に貢献しました。

その後、90年代には、熱心で要求の厳しいブドウ栽培者やワイナリーのオーナーのグループがこの地にやってきました。彼らは、品質の高いワイン造りを実現するための研究を通じて、劇的な変化を起こす準備ができていました。 これらの先見の明のある人々は、新鮮なアイデアと革命的なワイン作りのコンセプトを地域にもたらしまし、地域最高のワイン作りの伝統の、価値ある後継者としての地位を確立しました。その進み続けるムーブメントは、テロワールを調査し、オリジナルのワインを生産するプロジェクトに取り組んでいる新しいワイナリーの設立につながっていきました。

品質へのこだわり

この継続的な発展と活力のある環境下で、DOは品質の追求においてさらにもう一歩前進しました。 2008年の新しい一連の規則が発効し、生産者はブドウ畑でもワイナリーでも同様にイノベーションを起こすことができるようになりました。 また、消費者の視点から認められる品質、期待通りのワインが作れるように、ワインのテイスティングに特に重点を置いています。

自分スタイルのワイン

すべての自然と人間による影響のおかげで、DOナバーラのワインは、有名なロゼワインから若く瑞々しい赤ワイン、美味しいシャルドネから素晴らしいクリアンサやレセルバの赤ワインまで、そして魅惑的で甘い白いマスカット(スペイン語ではモスカテル)も含め、幅広い可能性を持っています。

歴史

少し前に、研究者のチームは、ナバーラで原始的な野生のブドウの一種「"vitis silvestris"」を特定しました。 この植物は世界中のごくわずかな地域で発見されているだけで、その起源は約500万年前とされています。

古代

ナバーラで最初のブドウ栽培とワイン製造の記録は、この地域がローマ人によって支配されていた時代のものです。 ローマ時代のワイン蔵や、葬祭の記念碑、アンフォラなどの遺跡や名残は、その時代のブドウの社会的および経済的重要性を裏付けています。 アラブ人の支配下においてブドウの重要性は維持され、徐々に栽培エリアは拡大していきました。

中世

2つの出来事がブドウとワインの進化を促進しました。9世紀から10世紀にわたる時代の最初の修道院の創設と、サンティアゴ巡礼の始まりです。 巡礼者はナバーラに新しいブドウ品種をもたらし、修道院は新しいワイン生産技術の創造と普及の先駆者でした。

14世紀には、ナバーラはすでに重要なワイン生産地であり輸出も行われていました。 15世紀の初めは、おそらくパンプローナの北限を超えて、ブドウ畑が最大に拡張された時期でした。 ブドウはパンプローナの農民の主要な作物であり、ナバーラ王国の住民の食料として必要な穀物を栽培するために、ブドウ畑専用の土地を制限する必要があったほどです。

現代

19世紀の間、ナバーラのブドウ栽培は最高潮に達しましたが、この時期にも大災害が発生しました。 1856年以降フランスでフィロキセラが出現し、その後この隣国のブドウ畑が破壊されたことで、ブドウの栽培とフランスへの輸出が大幅に増加しました。 しかし、数年後、フィロキセラもスペインに到達し、ナバーラのブドウ畑を完全に破壊しました。当時のナバーラのブドウ畑50,000ヘクタールのうち、48,500ヘクタールが破壊されました。

この大災害は、スペインのすべてのブドウ畑を再建するきっかけにつながりました。 ナバーラ政府の奨励を受けて、ナバーラのブドウ栽培農家とスペイン全土のブドウ畑にフィロキセラ耐性ブドウ台木を供給するために、新しいブドウ樹のための苗床が設置されました。 ナバーラには現在、5つのサブゾーンに10,500ヘクタールの栽培地があります。

ナバーラの認定ブドウ品種

ナバーラには、ロゼ、若い白とオーク熟成の白、若い赤とオーク熟成の赤、甘いワインなど、消費者の好みに合わせて調整された、あらゆる種類のワインを作るために使用される白ブドウと黒ブドウの幅広い品種があります。

ブドウ畑の70%以上が土地固有の品種(在来種)のガルナッチャとテンプラニーリョに特化しており、残りの30%は最も有名な国際品種、カベルネ・ソーヴィニョンとシャルドネが占めています。
ナバーラで生産されるブドウの94%は黒ブドウで、6%が白ブドウです。

データ

ワイン生産量

Reds 61%
Whites 14%
Rosés 25%

品種ごとの生産量 (Kg)

黒ブドウ
Tempranillo 25.657.659
Garnacha 20.792.046
Cabernet Sauvignon 10.781.424
Merlot 10.526.187
Graciano 1.386.463
Syrah 1.265.605
Pinot Noir 135.810
Others 171.622
Total Reds 71.035.784

白ブドウ
Chardonnay 4.741.609
Viura 2.346.780
Moscatel de Grano Menudo 1.129.494
Sauvignon Blanc 1.255.635
Garnacha Blanca 488.651
Malvasía 10.812
Others 6.625
Total Whites 9.979.606

Production D.O.: 81.015.390 Kg.

国内外生産量比率

International 63 %
Domestic 37 %

国別販売量

United Kingdom 2.608.999
Germany 2.250.605
China 1.981.604
Switzerland 1.464.097
Holland 1.404.184
USA 721.218
Total General 2014 15.028.213

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Rua Romana 31390 Olite Navarra
連絡先 電話: +34 948 741 812
e-mail : info@navarrawine.com
HP www.navarrawine.com / www.navarrawinelovers.com
ブドウ畑の面積 11,025 ha.
ブドウ畑の標高 400 m.
土壌 主に、柔らかく肥沃な表土の下に砂利を帯びた白亜質。ただしリベラ・バハではそれが砂質に変わる。
主要ブドウ品種 白ブドウ:
ビウラ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、マルバシア、ガルナッチャ・ブランカ、モスカテル・デ・グラノ・メヌード

黒ブドウ:
テンプラニーリョ、ガルナチャ、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、シラー、ピノ・ノワール、グラシアーノ、マスエロ
最大収穫量 8,000 kg/ha.
収穫率 70 %
生産量 2015:480,999 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2020年9月現在)およびナバーラ原産地呼称統制委員会の一部を和訳したものです。

Rioja DOCa / DOCaリオハ

1991年、最初に特選原産地呼称(DOC)に認められたワイン産地

DOCa リオハ

リオハは、1925年にDO(原産地呼称)を取得した最初のスペインのワイン産地でした。
そして、1991年には長期に渡る実績があり、一貫性のある品質を維持するワイン産地の上位カテゴリーであるDOCa(Qualified Designation of Origin特選原産地呼称))にスペインの産地で初めて昇格しました。

リオハDOCaは主に赤ワインの産地として知られていますが、白やロゼワインも造られています。 多くのワイナリーでは今でもいくつかの品種をブレンドして赤ワインを作っていて、その殆どがスペイン原産のブドウ品種の中で最も高貴なテンプラニーリョをベースにしたものです。 このブドウは、オーク樽での熟成と同様に、ワインにエレガンス、アロマの凝縮感、フレーバーの複雑さを与え、ワインにリオハ独自の個性を与えるのです。

リオハワインは着実に進化してきました。今日それらは、バラエタルワイン(単独品種のワイン)、樽よりも果実感を重視したブレンドワイン、オーガニックワイン、そして市場の最高峰を占めるレセルバとグラン・レセルバなど、幅広いスタイルを提供しています。

選ばれた土地 歴史からの贈り物

ブドウ樹とワインの文明は、2000年前のリオハの地ですでに現実のものでした。これは、ワイン圧搾機やワイナリー跡などの、ローマ時代に遡るのぼる多数の考古学的遺跡によって証明されています。

このワイン造りの文化は、中世において、スペイン語で書かれた最初の詩人であるゴンサロ・デ・ベルセオが彼の詩の中でワインを賞賛した場所、サン・ミリャン・デ・ラ・コゴリャ修道院で保護、維持されました。※注釈:このリオハにある歴史ある修道院にはスペイン語で書かれた最古の文献が残されています。

数千年に渡る遺産、リオハ。その発見。

リオハワインの卓越性は伝統的に探求され、消費者の間で名声のイメージを構築し、世界中のワイン愛好家に賞賛されました。そして熟成に非常に適したクラシックなスタイルのワインと、非常に革新的なスタイルの新世代ワインとの両方で、スペインの主要なワイン生産地域になりました。

リオハワインは、その独特の個性と多様性とで革新の最前線にとどまることができました。この多様性は、ヨーロッパの歴史ある原産地呼称のエリートの中において、市場での成功への鍵です。 実際に高品質なワイン産地の中で、リオハブランドは世界で最もよく知られている5つのブランドのうちの1つです。

「この地域の何世紀にもわたるブドウ栽培の経済的重要性は、中世からフランス革命への移行期において市場性のある商品になったときに始まりました」。

ブドウ栽培は、穀物とともにリオハの主要な作物です。他の歴史あるヨーロッパのワイン産地同様に、リオハワインが市場性のある製品になったときに経済的な重要性が高まりました。都市にますます集中する人口の増大する需要を満たすためには、問題だらけでコントロールされていないワイン貿易を近代化する必要があり、リオハのようなワイン生産地域においては、交易のために地元消費のニーズをはるかに超える生産量に増加しました。

非常に重要な転換点は、1787年の、ブドウ栽培を促進し、ワインの品質を向上させ、北部市場での貿易を促進することを目的としたReal Junta de Cosecheros(Royal Board of Winegrowers / ブドウ栽培ワイン生産者組合)の創設でした。 そして当然のことながら、その最優先事項は、リオハとビトリアおよびサンタンデール港を結ぶ道路と橋の建設及び改修でした。

リオハのブドウ栽培の伝統は、19世紀の後半に経験豊富なワインメーカー達が新しいワイン造りと熟成方法を導入し、明確な独自の手法を確立した時に始まりました。そしてそれは今日でも立派に通用しています。
そしてリオハは、鉄道の開通と、フィロキセラ禍のためにフランスから来たバイヤー 達によって更に発展しました。 ルシアーノ・ムリエタ、カミロ・ウルタド・デ・アメザガ、ラファエル・ロペス・デ・エレディアなどの著名なワインメーカー達は、近代的なコンセプトと品質をリオハに積極的に導入し、リオハワインをメドックスタイルで熟成された、ボトルで販売される高品質のワインへと変貌させていったのです。

それ以来、リオハは(スペイン国内で)モデルとなる産地であり、絶えず自らを近代化し、新しい時代の要求、消費者の習慣、市場の進化に適応してきました。 伝統の中で革新を理解するその独自の方法により、リオハは20世紀の最後の数年間で、ワイン生産とマーケティング構造に於いて大きな発展を遂げ、ワインの品質を通して達成された名声は、リオハを世界でも有数の素晴らしいワイン産地の1つに進化させました

19世紀の最後の数十年がリオハワインの近代化、産業的ワイナリーの誕生と生産技術の向上の出発点であったとすれば、1970年の神話的なヴィンテージで始まった10年は、ワイン生産とマーケティング構造における真の革命が始まった時期であり、リオハをスペインの高品質のワインの中で誰もが認めるリーダーシップに導いた10年であったと言えます。

1991年4月にDOCaとして公式に承認されたと同時に、リオハは更なる発展と近代化への道を歩み始めました。DOCaの付与は、より高品質の目標を達成するためのリオハによる絶え間ない努力、卓越性を求めた惜しみない努力が認められた証でした。

21世紀に入っても、リオハは、継続的な改善、独立性、公平性、およびその活動の完全性を目的とする方針に引き続き取り組んでいます。

特選原産地呼称 パイオニアとしての冒険

リオハはスペインで最初の原産地呼称であり、さらにDOCa(特選原産地呼称)を 最初に獲得しました。

現代のリオハワインは19世紀後半に生まれ、ワインのアイデンティティと造られた土地のとの明確な繋がりを確立しました。そして次に、(名声が上がったことにより)「横領者と偽造者」からアイデンティティを守る必要性がリオハのブドウ栽培者とワインメーカーに生じました。これらの問題は、1925年6月6日にリオハが原産地呼称に公式に認定されたことで、最終的には解決しました。

1991年にリオハはスペインで初めての特選原産地呼称となりました。 今日、スペインの約70の原産地指定のうち、リオハとプリオラートだけがより高位のこの地位を獲得しています。

1991年のDOCa承認以来、生産地域の境界、栽培可能なブドウ品種、最大収量、承認された醸造および熟成方法などが厳しく規定されています。統制委員会は、リオハワインの品質の育成と管理、宣伝、利益の擁護を担当する公的機関であり、その代表者が統制委員会の管理チームを構成しています。

今日、リオハは世界有数の原産地呼称の1つであり、ワインの品質と信頼性に関して最も強固な保証を行っており、すべてのワインを原産地で瓶詰めしなくてはならない数少ないワイン産地の1つです。リオハの統制委員会の効果的な規制は世界のどのワイン産地よりも厳しく、ワインの品質と信頼性に関して最大の保証を提供し、市場でのリーダー的地位に到達する上で決定的なセキュリティと自信を消費者に提供します。

品質と認証 優れた製品の保証

統制委員会は、ブドウ畑から市場まで、リオハの生産プロセス全体を監視、監査、管理しています。例えば植林密度は1ヘクタールあたり2,850本以上10,000本以下に制限されており、1ヘクタールあたり6,500kg(黒ブドウ)または9,000kg(白ブドウ)以上を生産することができません。 委員会の技術サービス部門は、ワインのタイプごとの在庫量、ヴィンテージ、樽と瓶の数、バックラベルなどの検査を頻繁に実施します。そしてワイナリーによる申告の正確さを検証します。 ワインの原産地、ヴィンテージ、醸造方法は、安全なバックラベルとシールによって保証されており、その管理はマーケティングのステージへも拡張されています。

コントロールプロセス

ブドウ栽培者、ワインメーカー、および管理代表者を含む統制委員会は、リオハワインの種類と品質を保護するためにDOのスタンダードへの準拠を確保する責任があります。
統制委員会は、保護されたワインの量と質の両方について、生産から商品化まで厳格かつ効率的な管理システムを実行しています。 このため、すべてのリオハワインは、DOCaワインにふさわしいかどうかを判断するために、分析的および官能的テストを受ける必要があります。 分析は3つの自治州の公式研究所で行われ、ブラインドテイスティングはブドウ栽培者とワインメーカーのパネルによって行われます。

ブドウ栽培

品質を最適化するために、リオハのブドウ栽培とワイン製造には、他のワイン産地よりも厳しい基準が適用されています。

ブドウ栽培については、指定の仕様書または植栽密度などの事項に関して発令された基準によって保護されます。この植栽密度基準は、1ヘクタールあたり2,850本以上10,000本以下の範囲でなければなりません。 登録されているブドウ畑はすべて、所有者の名前、自治体、区画の場所、表面積、品種、植え付け年、ブドウ樹の本数とともに理事会の記録に記載されている必要があります。

栽培方法は一般に生産の質を最適化することを目的としなければなりません。特に剪定に関しては、ブドウ畑からの生産を適切に管理することを目的とした慣行に従って、統制委員会が収穫ごとに適切な措置を採用するのはそのためです。

許可されているブドウ樹の仕立て方と剪定方法は次のとおりです。
◾伝統的な低木(ブッシュ)またはゴブレとその変種
◾ダブルコルドン
◾棒仕立て
◾シングルまたは片側コルドン
◾ダブルギヨー(以下の白品種専用:シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ベルデホ、マトゥラナ・ブランカ、テンプラニーリョ・ブランコ、トゥルンテス)

白品種のシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ベルデホ、マトゥラナ・ブランカ、テンプラニーリョ・ブランコ、トゥルンテスの場合、ブドウ樹1本あたり16芽が最大で、グルナッシュは14芽が認められています。他のすべての品種は、1本あたり最大12芽に剪定されます。

ヘクタールあたりの生産量にも制限があり、これはより権威のあるヨーロッパの原産地呼称の平均を下回っています。

黒品種の場合、この制限は1ヘクタールあたり6,500 kgであり、白品種は1ヘクタールあたり9,000kgです。

各ブドウ畑の所有者は、ブドウ栽培者カードを持っており、それはブドウ畑の登録簿のデータと、そのブドウ畑で許可されている最大収量で、毎年自動的に更新されます。それは 収穫シーズンにワイナリーのすべてのブドウが申告されたかどうかを監視するために使用されます。

ブドウ栽培者が基準に従わなかった場合、生産したワインにリオハという名前を使用する権利が失われる可能性があります。

収穫

リオハワインの品質と原産地の保証は収穫から適用されます。
これは、リオハで生産されたワインの産地と品質を保証するために委員会によって確立された完全な管理システムが適用される重要な瞬間の1つです。

収穫中、委員会の検査サービスはブドウの移動を監視し、原産地の境界を管理し、ブドウの品質を検証し、委員会によって特別に雇用された200人以上の収穫ヘルパーを動員し、全てワイン醸造所にある計量器による全てのブドウの生産量の計量を監督します。

特選原産地呼称リオハを使用する権利を持つブドウを加工または販売するために、リオハの約15,000のブドウ畑所有者は、ブドウ畑の登録面積と最大認可ブドウ生産量(kg)を表示する必要があるブドウ栽培者カードを持っています。 黒品種の場合は1ヘクタールあたり6,500kg、白品種の場合は1ヘクタールあたり9,000kgです。

すべてのワイナリーでは、ワイン生産者、協同組合、商社のいずれであっても、黒または白といったブドウの種類、ブドウ品種、原産地、ブドウの衛生状態とアルコール含有量 に応じて、ブドウ加工品ごとの計量チケットが発行されます。

すべてのワイナリーは、事前に統制委員会に通知し、ブドウの収穫を開始する予定の日付、行われる予定の場所、およびブドウが到着する予定の時間を示す必要があります。すべてのブドウは、統制委員会の監督者の立会いのもとで計量する必要があるためです。

収穫が終了すると、ワイナリーは、ブドウの供給業者のリストとそれぞれが配達するブドウの量とともに、製造されたワインの誓約書を委員会に提出します。すべての計量値は委員会によって電子的に送信されるため、ワイナリーはサプライヤーのリストを利用できるようになり、サインをするだけで済みます。

認証

DOCaリオハ特選原産地呼称委員会は、2017年4月7日以降、UNE-EN ISO / IEC 17020:2012(認定349 / EI 554)への準拠の認定を受けています。リオハは現在、UNE-EN ISO / IEC 17065:2012に取り組んでいます。

品質の詳細については、「serviciostecnicos@riojawine.com」にお問い合わせください。

ヴィンテージ承認管理

承認プロセスは、ワイナリーが指定仕様の基準を満たしているかどうかを判断するためにワイナリーが行う自己評価試験です。

管理委員会の仕事は、ワイナリーによって自己評価されたワインを検証および検証することです。 これを行うために、ワインのサンプルは、ワインが発酵した同じタンクから管理委員会の検査官によって採取され、原産地指定の3つの公的な醸造試験場(アロ、ラガーディア、オリテのワイン試験場)の1つでテストされます。 そこで、ワインの成分が指定仕様の要件に準拠しているかどうかが判断されます。

その後、取締役会分類委員会は、サンプルの官能検査を実施して、その典型性、色、透明度、香り、風味、ワインの品質を評価します。 テイスティングは、ワインの品質と、それがその独特で紛れもないリオハの個性を持っているかどうかを判断するための最良の方法です。

約140人の専門家が分類委員会に参加し、統制委員会の技術者の監督下で働いています。 各委員会は、ワイン生産部門、ワイン製造部門、独立した技術者の3つの部門から5人のテイスターで構成され、独立して厳格な専門的基準に従ってワインを評価し、要件を満たしているかどうかを判断します。 適切であると判断された場合、リオハという名前を使用する権利が付与されます。

オペレーターの格付けの監督

評価は、生産されたワインが生産仕様に定められた要件を満たしているかどうかを判断するためにワイナリーによって実行される自己評価です。

統制委員会は、ワイナリー自体によって評価されたワインのバッチをチェックおよび検証するために、ワインを評価するための検査を実施します。 これらの検査は12月1日から3月31日まで行われ、ワインが発酵された大桶からのサンプルを使用して評議会の技術者によって実施されます。

委員会のテイスティングパネルは、サンプルの官能検査を行い、ワインの種類、色、清潔さ、香り、味、品質を評価します。 テイスティングは、ワインの品質だけでなく、その独特で紛れもないリオハの性質を決定するための最良の方法です。 テイスターが互いに影響を与えるのを防ぐために、事前のコメントなしに個別に実行されます。
140人の専門家で構成されるテイスティングパネルは、規制委員会の技術者の監督下で機能し、ブドウ栽培者、ワインメーカー、独立した技術者を代表する3つのセクターから5人のテイスターが参加し、完全な独立性と厳密な専門的基準を使用して、味わうワインを評価し、リオハの原産地呼称として認められる権利に対するその適合性を判断します。

ワイナリーがワインを販売するために使用するすべてのラベルは、委員会からの事前の承認が必要です。委員会は、他の国への輸出についても原産地証明書を発行しますが、各ボトルには個別の保証があるため、これは必須の要件ではありません。

ワイナリーでの管理

一般に、ほとんどの原産地呼称によって確立された管理システムは、外部エージェントによる違法行為の可能性に関して国境外の市場を定期的に管理することなく、その領域内にあるブドウ栽培者とワイナリーに限定されています。

リオハの独占的な管理措置の1つは、スペイン市場と海外の両方で、販売時点でリオハワインのサンプルを採取することです。 サンプルは、製品の特性とボトルのバックラベルまたはシールの信頼性の両方をチェックする評議会の監督機関によって検査されます。

保証ラベル

リオハの管理委員会は、リオハのワインの裏ラベルとシールの信頼性を保証するために、ワインの世界で初めてのセキュリティシステムを採用しています。

このシステムには、ロゴの一部とリオハという言葉を描いた小さな(7×22 mm)金属のようなストリップで構成される光学可変デバイス(リオハトラストシール)が含まれます。その独自のデザイン、光沢のある光沢、鮮明に定義されたエッジ、および光学効果により、消費者は、劣悪な照明条件下でも、ラベルを本物として識別することができます。

ヨーロッパの紙幣で広く使用されているこのシステムは、セキュリティシステムの世界的リーダーによって開発されました。それはリオハのバックラベルとシールを偽造することを事実上不可能にします。

市場管理

リオハはおそらく世界の原産地呼称の中で消費者に最も信頼できる保証を提供する産地の1つであり、管理委員会によって発行された4種類のラベルまたはシールのいずれかが付いた各ボトルの原産地、ヴィンテージ、カテゴリー、品質について保証します。(ジェネリック、クリアンサ、レセルバ、およびグラン・レセルバについて)。

この最大限の保証という目標を達成するために、スペインの特選原産地呼称としての地位にふさわしく、ブドウの生産とワイン製造に厳格な基準を適用することに加えて、管理はマーケティング段階にも拡大されています。

一般に、ほとんどの原産地呼称によって確立された管理システムは、外部エージェントによる違法行為の可能性に関して国境外の市場を定期的に管理することなく、その領域内にあるブドウ栽培者とワイナリーに限定されています。リオハ独自の管理措置の1つは、スペイン市場と海外の両方で、販売時点でリオハワインのサンプルを毎月採取することです。サンプルは、製品の特性とボトルのバックラベルまたはシールの信頼性の両方をチェックするコントロールボードテクニカルサービスによって検査されます。

最先端のテクノロジーにより、管理委員会は、リオハトラストシールなどのセキュリティ機能を備えた保証バックラベルの信頼性をチェックできます。これにより、リオハブランドの違法な使用を簡単に防止および識別できるため、このような行為はほとんどありません。

スペインで唯一の末端市場でのワインの体系的な監視により、DOCaリオハは、保護されたワインの品質、供給源、熟成に関して消費者に最大限の保証を提供するという伝統的かつ先駆的な立場を継続して貫いています。

Rioja Wine in figures

熟成と産地に応じたワイン

DOCaリオハによって保護されているワインは、出所と樽熟成時間によって分類されています。

ワインの種類

リオハは、生産と熟成プロセスの絶え間ない改善のおかげで、ワインの革新の最前線にとどまることができました。今日では、最も有名なワイン産地の中で最も有名な5つのブランドのひとつであり、世界130か国以上で消費されているワインです。

白ワイン、ロゼワイン、赤ワインは、特選原産地呼称リオハの名の元に生産されています。

白ワイン

ブドウ全体が圧搾されます。皮と梗が除去されたら、結果として生じるマストは、制御された温度の発酵槽に入れられます。

ロゼワイン

ブドウは除梗され、軽く粉砕され、タンクに送られます。ここでは、短期間浸軟させます。次に、それをプレスして、浮遊物が沈殿するまで1日放置します。次に、マストは温度制御された発酵タンクに入れられます。

赤ワイン

リオハで赤ワインを作るには2つの方法があります。今日最も広く使用されているのは、発酵前に除梗し、長期熟成により適したワインを生産することです。伝統的な方法では、ブドウは全房のまま大きな開放槽で発酵されます。これは、マセラシオン・カルボニック として知られています。ワインはよりスムースで程よいボディで、初年度に飲むのにふさわしいワインになります。

どちらの場合も、発酵中にマストをポンプで汲み上げて、良好な色抽出を確保し、タンク全体で一定の温度を維持します。 どちらのシステムも、均一な発酵を実現し、マストの香りが失われないようにすることを目的としています。

発酵後、ワインは固形物から分離され、貯蔵タンクに移されて品質を管理されます。

この時点で、管理委員会は、ワインがリオハと見なされるに値するかどうかを判断するために、官能試験と実験室での試験を実施します。 官能検査は統制委員会の敷地内で実施され、実験室試験はラグアルディア(アラバ)、オリテ(ナバラ)、ハロ(ラリオハ)の3つの醸造所の1つで実施されます。

リオハのワインは225リットルのオーク樽で熟成され、定期的に澱引きされ、その後さらにボトルでの熟成が行われます。 リオハの樽の数は世界で最も多く、その数は130万本に上ります。

ワイン醸造と熟成

赤、白、ロゼ
革新と伝統の融合

リオハのブドウ品種
流行を超えて

リオハでは、伝統的に、土壌や気候によく適応し、最高品質のワインを提供するブドウでのみワインが作られてきました。

ブドウ栽培者とワインメーカーの経験により、この地域の気候と土壌に最もよく適応し、最高品質のワインを生産するブドウ品種が選択されました。

この歴史的なプロセスは、常に市場の進化と需要に加えて、ワイン業界の革新的な推進力によって補完されています。 これにより、1925年にDOに指定されて以来、2008年に初めて新しいブドウ品種が承認されました。この背後にある主な目的は、白ワインの競争力を高め、ワインのアイデンティティを維持しながらワイン生産に多様性と差別化をもたらすことです。

DOCaリオハで認可されているブドウ品種

ヴィンテージ評価

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間違いなく、DOCaリオハを使用する権利についてのワインの条件はワイン製造技術の改善に大きな影響を与え、したがって、原産地呼称の主目的であるより高品質のワインを生み出しました。

分析試験で却下されるワインの数を減らすことに直接的な影響を与えるワイン造りの改善という目的が達成されると、管理委員会は近年、ワインの種類を区別するための基本である官能的特徴の改善に幅広く取り組んできました。
ヴィンテージの評価は若いワインに対して行われ、一般的な性質のものであるため、熟成の対象となるワインの評価を完了する必要があります。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Estambrera, 52 26006 Logroño La Rioja
連絡先 電話: (+34) 941 500 400
e-mail : consejo@riojawine.com
HP www.riojawine.com
ブドウ畑の面積 63,137 ha.
ブドウ畑の標高 350-650 m.
土壌 リオハアラベサ:石灰質粘土
リオハアルタ:石灰質粘土、いくつかの鉄質粘土、沖積土
リオハオリエンタル:鉄粘土と沖積土
主要ブドウ品種 白ブドウ:
ビウラ、マルバシア・リオハーナ、ガルナッチャ・ブランカ、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、ベルデホ、マトゥラナ・ブランカ、テンプラニーリョ・ブランカ、トロンテス
黒ブドウ:
テンプラニーリョ、グラシアーノ、ガルナチャ、マスエラ、マトゥラナ・ティンタ
最大収穫量 白ブドウ 9,000 kg/ha 黒ブドウ 6,500 kg/ha red
収穫率 70-72%
生産量 2019:2,709,000 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2020年11月現在)およびリオハ特選原産地呼称統制委員会の一部を和訳したものです。

Somontano / ソモンターノ

ソモンターノによって注目されるようになって来た、アラゴン州のワイン産地

ソモンターノはピレネー山脈のふもとにあり、その名には、地勢そのままの「山麓」という意味があります。平均海抜は650メートルで、冬にはまとまった降雨量があり、夏は暑く、非常に乾燥した土地です。ワイン産地としては以前はほとんど知られていませんでしたが、1984年に原産地呼称が認められてから活気づき、協同組合の組織替えを行ったり、州内外から大きな投資と最新技術が導入されるなど、国際市場を強く意識した新しいスタイルのワインの開発が活発に進められてきました。このため、原産地呼称ワインに認められているぶどう品種には、固有品種に加え外来品種が認められています。そのため、ソモンターノはスペインのなかの「ニューワールド」と呼ばれ、海外からも称賛されてきました。しかし現在では、新たに土地の固有品種を見直す動きも出てきています。

地理的特徴と気候

ソモンターノはアラゴン州ウエスカ県の中心部、ピレネー山脈の麓とエブロ渓谷の間にある、美しい伝統的な地区に位置しています。この地区で最も大きな町はバルバストロで、フランスとの国境から80キロのところにあります。
ブドウ畑はアラゴンのピレネー山脈の麓に広がっており、理想的な標高と気候に恵まれています。ブドウ畑は豊富な草が茂る急な傾斜面の段々畑で、標高は350m~1000mになります。谷を流れる川は北から南に向かい、エブロ川と合流します。
土壌は砂質と粘土質が多く含まれる明るい赤土で、川に近いところでは沖積物が含まれます。また石灰岩は理想的な土壌をもたらしています。それらは痩せて非常に水はけがよく、健康的な土壌です。ピレネー山脈が北からの風を遮るため、ソモンターノは非常に穏やかな大陸性気候ですが、寒暖の差は激しくなっています。ブドウ栽培家たちは霜や干ばつ、極端な夏の暑さに対処することには慣れています。日中や夏の昼夜の極端な寒暖差はこの土地特有のもので、ブドウが良く熟するのにとても良い状態を作り出しているのです。

栽培と醸造

ソモンターノで栽培されているブドウは新しいものと古いものが混在しているので、伝統的な品種であるモリステルやパラレタ(赤)、アルカニョン(白)などからもワインが作られています。1990年代にはこのことこそがソモンターノの本質であり固有のものとして価値を認められ、近代的なワイン醸造技術ともうまく調和することが出来ました。
そのほかのスペイン固有の品種、マカベオやテンプラニーリョ、ガルナチャ・ティンタやガルナチャ・ブランカは、カベルネ・ソーヴィニョンやメルロー、ピノ・ノワールやシャルドネ、そしてゲヴェルツトラミネールやシラーと言った外国品種と並んで植えられています。
ブドウ畑では近年機械化も進んでいます。 うどんこ病は風土病ですが、最新の衛生コントロールによりもはや問題にはなっていません。べと病はまだ知られていません。収穫は8 月上旬にスタートします。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Avda de la Merced, 64 22300 Barbastro Huesca Spain
DO 設立年 1984年
規定の最終更新 2012年
連絡先 電話:+34 974 313 031/FAX:+34 974 315 132/e-mail:erio@dosomontano.com
HP www.dosomontano.com
ブドウ畑の面積 4,040.00 ha
ブドウ畑の標高 350~1,000 m
土壌 茶色い石灰岩が柔らかい物質の上にあり、そのためブドウの根が地中に張り巡らされている。この石灰岩土壌は痩せて水はけが良く、衛生状態も良く保たれる。これらの要因が品質の良いワインの生産を可能にしている。
主要ブドウ品種 白ぶどう品種:シャルドネ、ゲヴュルツトラミネール、マカベオ、ソーヴィニヨンブラン、ガルナッチャ・ブランカ、リースリング、アルカニョン
黒ブドウ品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、テンプラニーリョ、シラー、ガルナッチャ、モリステル(フアン・イバニェス)、パラレタ、ピノ・ノワール
オーガニックブドウ栽培面積 70 ha
気候 夏季の平均気温 26.63度(過去25年間で一番暑かった年のもの)
冬季の平均気温 マイナス0.85度(過去25年間で一番寒かった年のもの)
平均降雨量 年間500mm
平均日照量 年間2700時間
最大収穫量 8,000 kg/ha (黒ブドウ); 9,000 kg/ha (白ブドウ)
ヘクタール当たりのワイン生産量 56,00 hl/ha (赤) 63,00 hl/ha (白)
生産量 2015年 124,831 (hl)
アルコール度数 白Min 10%. Average 13%、ロゼMin 11%. Average13-13,5%
赤 Min 11.5%. Average 14%
熟成年数 ・クリアンサ
(赤)24か月、うち最低6か月は樽熟成。
(白とロゼ) 最低18か月、うち6か月は樽熟成。(最大容量300ℓのオーク樽で)

・レセルバ
(赤)最低36 ヶ月。最低12か月は樽熟成。(最大容量300ℓのオーク樽で)
(白とロゼ) 最低24か月。うち最低6か月は樽熟成。

・グラン・レセルバ
(赤)最低60か月。うち最低18か月は樽熟成。(最大容量300ℓのオーク樽で)
(白とロゼ)最低48か月、うち6か月は樽熟成。
ワイナリー数 30
輸出量 2015年 32,195.01 hl (2016年9月現在)

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2017年3月現在)の一部を和訳したものです。

バスク地方

バスク地方のワインといえば、チャコリ。爽やかな酸味のある微発泡ワインで、白ワインが8-9割を占めています。古くからこの地方で伝統的な製法で作られていましたが、近代化の波にのまれ、一時は衰退の危機に見舞われました。それを憂いた生産者たちの努力や自治体の後押しもあり、見事復活を遂げ、近年では輸出も含め大いに発展しています。現在この地方には、3つのチャコリのDO、チャコリ・デ・アラバ、チャコリ・デ・ゲタリア、チャコリ・デ・ビスカヤ、があります。最も歴史が古く、最大の面積を占めるのがチャコリ・デ・ゲタリアで、9割のブドウ畑が海に面しています。チャコリ・デ・ビスカヤでは、海側と山側の両方に畑があり、一番新しいチャコリ・デ・アラバは内陸部でブドウが栽培されています。伝統的なこれらのワインは、新鮮な魚介類の多い地方料理に良く合います。美食の都として世界的に名高いサンセバスチャンを擁するバスク地方ならではの楽しみ方も色々。チャコリの泡と酸味を和らげるために始まったエスカンシアという、高い位置から平なコップをめがけて注ぐパフォーマンスも、チャコリのワイン同様人気があります。

Chacolí de Álava-Arabako Txakolina-Txakoli de Álava
チャコリ・デ・アラバーアラバコ・チャコリナ



D.O.チャコリ・ デ・ アラバ

バスク州の南の内陸部に位置するアラバ県は、DOPリオハの赤ワインの産地の一部(リオハ・アラベサ)として知られていましたが、2001年にチャコリワインの原産地呼称「チャコリ・デ・アラバ」としても認定されました。

チャコリは大昔からこの地域で造られていたいわば地酒のようなワインですが、19世紀後半からの急激な工業化と人口の流入、嗜好の変化、さらにはフィロキセラによるブドウ畑の壊滅的被害で一時期は、畑は5ヘクタールまでに減ってしまいました。それを1980年代からすこしずつ復活させ、現在に至っています。

1989年にアラバ県議会と古くからの生産者達は、アイアラ地域でのチャコリの生産を復活することについての同意書にサインをしました。また、1999年から2000年にかけて、50haのブドウ畑で33の生産者が共同で80,000ℓのワインを造りました。2010年までにブドウ畑は100haに広がり、7つのワイナリーがDOに登録されています。

認可されている主要品種は、白品種のオンダラビ・スリと、赤品種のオンダラビ・ベルツァ、そしてプティ・マンサン、グロ・マンサン、プティ・コルブなどです。

地理的特徴と気候

この産地はアラバ県の北部に位置しており、大西洋気候で、主要品種であるオンダラビ・スリとオンダラビ・ベルツァの生育にとって非常に良い環境となっている。
十分な日照量と適度な雨は、アルコール度数が12度になるブドウが出来るのに最適な環境を作ってくれる。また、春の遅霜のリスクを避けるために、殆どの畑はサルバダ山脈の斜面の低い場所に位置している。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 C/ Dionisio Aldama, 7 1ºD 01470 Amurrio Álava
連絡先 電話: +34 656 789 372
e-mail :merino@txakolidealava.com
HP www.txakolidealava.com
ブドウ畑の面積 100 ha
土壌 PH7.5~8 、石灰岩質の多い部分ではph7.2から9.2
ブドウ品種 主要ブドウ品種(白):オンダラビ・スリ
主要ブドウ品種(赤):オンダラビ・ベルツァ
最大収量 13,000kg/ha
生産量 2015年:4,490hl
ワイナリー数 7

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2017年10月現在)およびチャコリ・デ・アラバ原産地呼称統制委員会HP(スペイン語)の一部を和訳したものです。

Chacolí de Guetaria-Getariako Txakolina-Txakoli de Getaria DO
D.O.チャコリ・デ・ゲタリア(ゲタリアコ・チャコリナ)



D.O.チャコリ・デ・ゲタリア

チャコリと呼ばれるバスク地方のフレッシュな白ワインは、バスク州の3つの県で造られています。そのうちの1つ、ギプスコア県のブドウ栽培エリアで作られているワインがDOチャコリ・デ・ゲタリア(バスク語でゲタリコ・チャコリナ)で、ブドウ畑の面積は402ヘクタール、その9割は海沿いに位置しています。チャコリの3つのDOの中では、チャコリ・デ・ゲタリアが、ブドウ栽培面積、ワイン生産量ともに最大です。一方で、栽培地域の狭さと地元でのワイン人気の上昇により、チャコリの輸出量は限られたものとなっています。

1989年来の原産地呼称

ゲタリアのチャコリは過去25年以上に渡って原産地呼称を維持してきました。チャコリの復活を遂げたワイン生産者と、バスク地方行政が実施する品質面で努力の結果として、 1989 年にゲタリアはチャコリ・デ・ゲタリアの原産地として指定されました。その当時の指定原産地はアヤ、ゲタリア、サラウスのみで、そこで造られたチャコリのみがDOゲタリコ・チャコリナのワインとして認定されていました。 その後2007 年 には原産地呼称チャコリ・デ・ゲタリアは、その指定栽培エリアをギプスコア県の全体に拡大しました。
20年前までは、良いチャコリと言えば、「カセリオ」と呼ばれる農家で伝統的な製法で造られたものに限られていました。今日では新しいテクノロジーと、県全体のレストランの料理の並外れた水準の高さが手伝って、ゲタリアのワイナリーは新たなルネッサンスの時を謳歌しています。県都のサンセバスチャンは美食の都として世界的に有名です。

伝統的な若いワイン

伝統的な若いワイン、ゲタリアのチャコリの原料となるのは、2つの固有品種です。ブドウ畑の95%を占める白ブドウのオンダリビ・スリと、残りの5%である黒ブドウのオンダリビ・ベルツァで、これらは垣根仕立てで栽培されています。ゲタリアのチャコリは、糖度の酸度のバランスがちょうど良くなる秋の初めごろ慎重に収穫され、最先端のプレスと発酵技術を使用して、丹精を込めて作られています。
チャコリは若くてフルーティーな白ワインです。アルコール度数は中程度の強さ (11º) と特徴的なわずかな酸味のとてもユニークなキャラクターのワインです。よく冷やすと、特徴的なワイン作りのプロセスの結果である、独特の小さな炭酸の泡と様々な要素のある香りを楽しむことができます。地元ではチャコリは、独特の形をした平らな底のタンブラーに1インチ程度一気に注がれ、その泡が消えないうちに飲み干す、バスク語で「ティンパルタ」という飲み方が一般的です。
ワイナリーを訪問する際は、塩漬けのアンチョビやマグロやカツオのオイル漬けとともにチャコリを飲むことをお勧めします。それが、チャコリの生産者達の好む楽しみ方だからです。

識別(認定)方法

ゲタリアのチャコリは、各ボトルの上部に貼られる番号付きのDOの保証シールで識別されます。これは、登録されているワイナリーが現在の法律や規定に従ってワインを生産していることを保証しています。
DOチャコリ・デ・ゲタリアの本部、つまり原産地呼称統制委員会は、この地方の固有品種ブドウの原産地の確認、ワインメイキングの行程と品質の慎重な管理 そして消費者にチャコリ・デ・ゲタリアの品質を保証すること、を明確にしています。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Parque Aldamar, 4 20808 Getaria Gipuzkoa
連絡先 電話: +34 943 140 383
e-mail : info@getariakotxakolina.com
HP www.getariakotxakolina.com
ブドウ畑の面積 402 ha
ブドウ畑の標高 10~100m
土壌 表土は軽い砂状で、下層度は沖積粘土質。
ブドウ品種 主要ブドウ品種(白):オンダラビ・スリ
主要ブドウ品種(赤):オンダラビ・ベルツァ
最大収穫量 13,000kg/ha
収穫率 72%
生産量 2015年:25,125.00 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2018年1月現在)およびチャコリ・デ・ゲタリア原産地呼称統制委員会HP(スペイン語)の一部を和訳したものです。

Chacolí de Vizcaya-Bizkaiko Txakolina-Txakoli de Bizkaia DO
D.O.チャコリ・デ・ビスカヤ(バスク語およびバスク語表記:ビスカイコ・チャコリーナ、チャコリ・デ・ビスカイア)



D.O.チャコリ・デ・ビスカヤ

ユニークで素晴らしい神の酒「チャコリ」の復活が始められたのは1980年代初頭、バスク州とビスカヤ県のサポートを受け、チャコリのワイン生産者のグループが、「チャコリワイン生産者組合(BIALTXA)」を結成した時からでした。彼らの労働、努力、協力体制などが実を結び、1994年には原産地呼称委員会(DO)「チャコリ・デ・ビスカヤ」が設立されました。
このDOは、先祖代々受け継がれてきた、大西洋のワイン造りの結実であるチャコリというワインを広く知らしめること、そしてチャコリ誕生の地であるビスカヤの、田舎式かつ伝統的な農法や土地固有のブドウ品種を賞賛し、守ることを役割として生まれました。

伝統

ビスカヤのブドウ樹は、遡ること1000年も前から存在していた。12世紀から13世紀以降、ワインは自給自足で作られ、地元で消費されていました。 チャコリの語源は、バスク語で自家製を意味する「エチャコア」、または、「一家族に充分」を意味する「エチェコ アイン」だと言われています。

14世紀から15世紀の間、地元のワインは管理され、保護されていました。最古の文献は1616年のもので、「チャコリン・ワイン」が地元のワインとして指定されています。19世紀の終わりから20世紀の初めにかけては、「チャコリネス(チャコリ専門バル)」が出現し、塩ダラやイカ、アンギラス(鰻の稚魚)などと供に楽しくにぎやかに振舞われる人気ワインとなり、チャコリとしては最高の栄誉を体験しました。しかし20世紀の初めには、外国からのワインとの競争や、バスク地方の工業化の波、フィロキセラの被害と相まって、1891年の調査で2,874ヘクタールとされていたブドウ畑は壊滅状態に陥りました。

長い「不確実性の時代」が続いた後、1980年代の中盤、生産者達の小さなグループはビスカヤのブドウ畑を復活させるための前進を始め、ワイン造りを進化させていきました。活動が認められ、1994年にはチャコリ・デ・ビスカヤはDOに認定されました。現在では「チャコリ(バスク語ではチャコリーナ)」はEU規制のもと、伝統的な用語として保護されています。

ブドウ畑

チャコリ・デ・ビスカヤは、この地方独特のユニークな特徴によってそのキャラクターが造られています。耕作地は丘の斜面の中腹にまで広がっており、北風から守られ、日光がさんさんと降り注いでいます。標高は50~20mで区画は小さく、機械化が難しい所です。必然的にブドウは愛情とともに手をかけて育てられ、質の高いものになります。

気候

湿った、暖かい大西洋気候。雲や霧により日照量の少ない地域ですが、ブドウ畑は日当たりのよい斜面に植えられているので、日照時間が地域の平均よりも長くなっています。海の影響により夏でも気温は高くなく、冷涼。ブドウには海の香りがつき、ゆっくりと熟します。降雨量は1000~1300mm。冬と春に多く、一部は秋に降ります。 また、秋に頻繁に吹く南風は、ブドウの熟成に良い効果を与えています。

ブドウ樹の仕立て方

ブドウは通常垣根仕立てで、3x1.5mから2.5x1.10mの間隔で植えられます。

土壌

一般的にあまり深くなく、わずかに酸性で、石灰岩と泥灰土の上に粘土質ロームの風合いが見られます。

チャコリの製造工程

9月の終わりにブドウは最適な完熟期を迎えます。収穫は9月末ごろ認可外来品種から始まり、10月12日の「ピラールの聖母の日」辺りまで、地元の固有品種とともに収穫に専念します。ブドウは手摘みで収穫され、プラスティックのカゴに入れられ、ワイナリーまで運ばれます。
大勢を占める認可白ブドウは除梗をします。圧搾する前に多くのワイナリーでは、果肉と種を低温で不活性ガスを充填して漬け込むマセラシオンを行い、ブドウの果皮に含まれる香りや全ての混合物を引き出します。15℃前後に温度管理されたステンレスタンクで通常2~3週間かけて、モストの発酵が行われます。秋の終わりまでにチャコリは出来上がりますが、多くのワイナリーではさらに数週間待って、ワインが最高の状態を発揮できるタイミングを見計らいます。

畑では剪定が行われます。これにより、来たる新しいシーズンのブドウ樹の確実な再生や生育が保証されます。この難しく手間のかかる手作業は、1年のうちで最も寒い時期に時間を容赦なく費やす作業です。この間ワイナリーではワインの製造工程が完結します。清澄の行程では、安定化とフィルタリングによりワインは清潔で輝きのある製品になり、それは様々な要素と絡み合ってチャコリを愛する人々を楽しませてくれます。そしてこの時期には、DOによって保護されているワインの信頼性と品質を保証するために、多くの試飲が行われます。

穏やかな季節の始まりとともに、ブドウ樹の生育サイクルが再び始まります。芽吹きに先立ち、ブドウの樹液も再び「滴り、涙を流す」と呼ばれる現象で畑に姿を見せます。4月の前半には最初の葉っぱが現れ、5月の終わりには開花が始まります。この数週間がどのような気候かがその年の最終結果に影響を及ぼすので、ブドウの生産者にとっては緊張を強いられる期間です。ブドウ畑はこの時期は特別に手入れをされます。ブドウ樹の周りの通常の草刈りだけでなく、病気やカビなどに対しての手当も受けます。「ブランケの祭り」の伝統に従って、農家ではチャコリの新酒到来をしめす月桂樹の枝を飾ります。その頃には人々は春の日差しの中でチャコリを楽しんでいます。

この時期、全ての労働はブドウ畑の中に集約されます。生産者たちはブドウの樹や房がきちんと正しく生育するよう、それを確実にするための作業に没頭します。主な作業は剪定。ブドウ樹の枝や葉が通路を覆わないようにするため、またブドウ樹の枝を減らす、枝が伸びすぎたものをコントロールする、などの剪定も行われます。樹は伸びて高くなり、葉っぱで緑の壁を作りますが、これにより糖分が合成され、房の中に蓄積されていきます。夏の始めにはブドウはまだ小さな粒ですが、そのうち引き締まり、琥珀色からカラメル色の房になります。徐々にブドウの実は大きくなり、糖分を含み、酸は落ちていきます。ビスカヤでは夏の温度が低く冷涼なためこのプロセスはゆっくりと進み、徐々に適度に熟していきます。夏の終わりごろ収穫のタイミングを見計らう時期になると、風通しを良くして、危険な湿気や腐敗を防ぐために、ブドウの房の周りの葉っぱは一部取り除かれます。

チャコリのタイプ

チャコリ白

このタイプが生産の95%を占めます。主に2つの推奨品種、オンダリビ・スリとオンダリビ・スリ・セラティアから造られます。グラスの中ではワインは淡い色から麦わら色まで、時にはグリーンがかったものも見られます。輝きがあり、クリスタルのような透明感。突出した初期のアロマは中程度のボリュームで、果実や花、草の香りなどの様々な繊細な香りが支配しています。口中ではわずかに酸味を感じるのが特徴。フレッシュでバランスが取れています。フィニッシュは中程度の余韻があり、アフターテイストにはわずかな苦みが残ります。

チャコリ 白 樽発酵

非常に日当たりがよい一部の小区画で作られたブドウから造るワインだけがオーク樽で発酵させることができます。色は麦わらから淡い黄色。クリーンで輝いています。香りは中からやや高めの強さ。果実や花、バルサムのような香りも背後に感じられます。口に含むとフレッシュでバランスが取れていて、複雑。余韻が長く、後味には再び果実、花、そしてバルサムが感じられます。全てのワインは辛口。残糖分は1ℓ当たり5gを超えないようにしています。

チャコリ ロゼ

伝統的に「雄鶏の目」と呼ばれています。最低50%の推奨品種オンダラビ・ベルツァ で造られます。グラスの中では淡いイチゴ色からラズベリーピンクまで。クリーンで輝いています。アロマは小さな野生の果実、品種特有のピーマンや野菜のアクセントも。 口中ではライトからミディアムボディ、飲みやすく、フレッシュで生き生きとしたワイン。フルーティーなアフターテイストで、それも品種から来るものです。

チャコリ赤

オンダラビ・ベルツァから造られます。とても若いワインで、とてもわかりやすく、顕著な特徴のあるワイン。グラスの中ではしっかりとした赤い色調で、チェリーからすみれ色まで幅があります。突出した初期のアロマは小さな果実、ピーマン、野菜など。口中ではワインはミディアムボディでフレッシュ、タンニンも程良くあり、フルーティーな余韻。品種特有のピーマンや野菜が後味に印象を残します。しっかりとしたボディと複雑さがあるので、熟成も可能。トーストの香りの出現の可能性があり、口中ではより複雑な木の香りが味わいを補完します。

D.O.情報(ファクトファイル)

原産地呼称委員会所在地 Barrio Mendible, 42 48940, Leioa Bizkaia
連絡先 電話: +94 607 60 71
e-mail : info@bizkaikotxakolina.org
HP www.bizkaikotxakolina.eus
ブドウ畑の面積 392 ha
ブドウ畑の標高 最高400m
土壌 表土は一般的にあまり深くなく、わずかに酸性で、石灰岩と泥灰土の上に粘土質ロームの風合いが見られる。
ブドウ品種 主要ブドウ品種(白):オンダラビ・スリ
主要ブドウ品種(赤):オンダラビ・ベルツァ
最大収穫量 13,000kg/ha
収量:70%
生産量 2015年:17,763.65 hl

※上記文章はFoods & Wines from Spain(英語)(2017年12月現在)およびチャコリ・デ・ビスカヤ原産地呼称統制委員会HP(スペイン語)の一部を和訳したものです。

北部地方のその他の産地

アラゴン州

アラゴン

一足早く、国際市場に躍り出たソモンターノの影響を受け、同じアラゴン州の他のワイン産地でも業界再編成が始まりました。スペイン原産の品種名が産地名で、1930年代に早くも原産地呼称を獲得したカリニェナは当時リオハやヘレスと並ぶスペインの銘醸地域でした。その後は内戦が続き畑が荒れ果てカリニェナは長いあいだワイン産業の発展から取り残されていました。1990年代に入ると、ワイン産業復活が急激に始まり、品質向上、生産量・輸出量の増加と過去の栄光を取り戻しつつあります。

カンポ・デ・ボルハはDOナバーラと接し、魅力的なロゼとガルナチャを中心とした赤ワインの産地です。他にはぶどう栽培の限界ともいえる海抜900メートルに達する場所にあるカラタユドなどがあります。地元原産のガルナチャをベースにした若飲みワインの他、テンプラニーリョを加えた熟成タイプの赤ワインが造られるようになってきました。樹齢の古いガルナチャが豊富にありコスト・パフォーマンスに優れたワインが造られるのもこの生産地の特徴です。

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